ビスフォスフォネート系製剤と顎骨壊死
スタッフの五十嵐崇恭です。
先日、所属する日本歯科先端技術研究所の講演会に行ってきました。
演者は東京歯科大学インプラント科教授の矢島安朝先生で、内容としては歯科大学にもインプラントがさらに浸透してきて臨床、研究、教育の様々な面において近年、革新が続いているということでした。
口演で特に興味深かった点はビスフォスフォネート(BP)系製剤と顎骨壊死との関連についてでした。
ビスフォスフォネートには骨を吸収する破骨細胞を抑制する作用があり、つまり骨を増量するということで骨粗しょう症の方に広く処方されている薬ですが、近年、顎骨の壊死との関連性に注目が集まっています。
個人的に少し調べてみたのですが、日本で処方されているBP系製剤としては
注射用として、アレディア、オンクラスト、テイロック、ビスフォナール、ゾメタ
内服用として、ダイドロネル、フォサマック、ボナロン、アクトネル、ベネットがある。
BP系製剤による顎骨壊死(BRONJ:Bisphosphonate related osteonecrosis of the jaw)と考えられる条件として
1)BP系薬剤による治療を現在行っているか、過去に行っていた。
2)顎顔面領域に露出壊死骨が認められ、8週間以上継続している。
3)顎骨の放射線治療の既往がない。
などがあげられるとのことですが、歯槽骨炎、副鼻腔炎、歯肉炎・歯周炎、う蝕、歯の根尖病巣、顎関節障害など他の疾患との十分な鑑別が必要だとのことです。
また重要なポイントとして一部の歯科治療によってBRONJを惹起する可能性が強いとの報告があり、抜歯、歯科インプラントの埋入、根尖外科手術、骨への侵襲を伴う歯周外科処置などがあげられるためBP系薬剤を服用されている患者さんにこれらの処置は可及的に避けるべきであり、不可欠な場合は十分な説明と主治医との対診が必要であるとのことです。
またBRONJを予防するためには
①口腔衛生状態を良好に保つこと
②定期的な歯科検診を含めた口腔ケアが重要であるとのことです。
また講演中の質問で「既にインプラント治療を受けた患者さんがBP系薬剤を飲まれている場合は大丈夫か?」という問いには「インプラントが安定した状態であれば問題ないと考える」とのお答えでした。
これらBP系薬剤は中年以降の女性を中心にとても多くの方が服用されているので今後もこのBP系薬剤とBRONJの関連について勉強していく必要があると感じました。
↓日本口腔外科学会監修のBRONJについての文書です。
http://www.jsoms.or.jp/pdf2/bone_bisphos.pdf
【横須賀インプラントセンター 医療法人社団秀保会 五十嵐歯科医院】
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2008年3月5日 5:17 PM カテゴリー: スタッフ報告